説明
まえがき 地域へ、そして地域から未来へ
第一部 地域づくり活動に主体形成の新たな可能性を探る
第一章 人と暮らしが織りなす景色
はじめに
第一節 生活が人をつくるという思想
高度経済成長期の民主的教育論としての「地域に根ざす教育」の思想
第二節 暮らしと地域をつくる学びに触れる―松川町における「健康学習」に学ぶ
1 松川町の「健康学習」の概要
2 松川町の「健康学習」が語るもの
第二章 地域づくりと暮らしの主体形成
第一節 地域社会の未来像へとつながる地域活動の諸契機について
1 「新しい地域基盤」 の生成過程と住民の学習活動
2 調査活動期間における松本市の公民館活動の変化
3 「松本市公民館研究集会」にみる公民館活動の特長と課題
4 「公的」社会教育のゆくえ~「新しい公共」と地域の再編
5 地域自治組織の新しいかたち
第二節 地方自治体における近年の事業展開の特徴と課題―松本の事例から
1 2010年代以降の国の地方創生政策の展開と松本市における取組み
2 新たに生まれつつある活動がひらく局面
第三節 地域づくり論から描く、将来社会像への道筋
1 「松本らしさ」が孕む可能性
2 「すでに始まっている未来」とは? 鈴木敏正による北海道の実践の評価
3 「主体形成の社会教育学」の論理構造
第三章 地域がひらく民主主義の未来
地域づくり活動に見る「社会的陶冶過程」
考察Ⅰ 地域づくり論の3つの契機 小地域・学習・人格発達
《intermission》
第二部 社会をとらえ、未来をひらく理論を求めて
第四章 マルクスの思想・理論への新たなアプローチに学ぶ
第一節 物象化をとらえなおす―資本主義社会における変革主体形成の契機を考える
1 物象化の概念と理論の詳細
2 物象化論の理論構成の詳細
物象化の詳細/物象の人格化/制度及び法律
3 物象化と疎外
第二節 疎外論から主体形成論へ
1 『資本論』における「実体」概念と「社会的陶冶過程」について
2 社会的陶冶論としての『資本論』について
『資本論』と自己疎外=社会的陶冶論/物神崇拝と「意識における自己疎外」/物象化=自己疎外の展開としての「資本の生産過程」/現代社会における社会的陶冶過程と社会的協同実践
小括
第五章 マルクスの社会変革構想に学ぶ
第一節 マルクスにおける労働を基礎とする社会把握について
素材代謝と労働の観点/マルクスの「新しい唯物論」/生産関係の基礎を規定する概念としての労働/素材代謝と労働
第二節 「脱成長コミュニズム」を問う 斎藤幸平の所論より
1 斎藤の研究の位置
2 『大洪水の前に マルクスと惑星の物質代謝』の理論的枠組み
3 『人新世の資本論』が提起するもの
第六章 社会変革の新たな主体像を求めて
第一節 将来社会構想におけるアソシエーション論の可能性
1 アソシエーション論の検討に先だって
2 アソシエーション論の概要
① 大谷禎之介のアソシエーション論
② 佐々木隆治の物象化と所有に関する論から
③ 田畑稔の著作にみるマルクスとアソシエーション
3 アソシエーション論は、未来社会論としての性格を持っているか?
田畑の論の特徴と佐々木らの議論/田畑・鈴木・佐々木の所論から考える―若干の考察
第二節 マルクスの経済学批判から民主主義論をどう読み取るか
1 市民社会概念について、その基本
2 「新しい唯物論」への移行にあって、マルクス「市民社会論」はどう展開したか?
3 「新しい唯物論」にたつ民主主義論とは―アソシエーション論の発展という課題
第三節 近代民主主義を乗り越える民主主義論の検討
1 「政治・社会・経済を統合するヘゲモニー=教育学的関係」
2 「絶対的民主主義」論の展開論理について
3 「絶対的民主主義」その後―「叛逆のサイクル」から学んだもの
4 21世紀的課題 4次元の民主主義とグローカル市民性形成へ
考察Ⅱ 現代社会に胚胎する変革可能性を問う
おわりに 地域から未来をひらく活動と理論
あとがき