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猿・自然人・子ども ―労働と言語の歴史主義心理学

¥ 3,200 (税抜)

著者:ヴィゴツキー、ルリア
訳者:神谷 栄司、伊藤 美知子
発売日 : 2024年7月20日
言語 : 日本語
単行本(ソフトカバー) : A5版:304ページ
ISBN-13 :  978-4-908877-56-8

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説明

本書(1930年初版)の最深部にあるモチーフは、「人間の行動を理解するには行動の歴史の理解が必要である」ことだ。そのユニークさは、人間という存在も行動の本質も「歴史」的であるという哲学的意味にとどまらず、本書の著者たちが生物進化、人類史、人間の個体発生史の3つの歴史を1つの歴史として実証的にとらえようとしたことにある。その際、「手も知性もそのままでは大して価値はない。それらは道具や補助手段によって事をなす」というベーコンに、人間行動の歴史への鍵が見いだされている。その観点により動物心理学・人類学・発達心理学のなかから、類人猿による道具の発明・使用(ケーラーの実験)、自然人における発話と読み・書き・計算の独特な形式(レヴィ=ブリュールらの調査)、子どもにおける自然的発達と文化的発達の分岐(ヴィゴツキーらの実験)という諸事実に焦点があてられた。  こうしてヴィゴツキーの著作のなかでも視野の広さで画期的となった本書は、かれの死(1934年)までの論文・手稿・著作―有名な「発達の最近接領域」『思考と言語』も含む―の1つひとつが本書の枠組みのなかにあるのか、それとも越えているのかを測るメジャーのような役割をはたしている。

第1章 類人猿の行動

第1節 行動発達における3つの段階
第2節 ケーラーの実験
第3節 構造法則と猿の行動
第4節 猿の知能と自然的経験
第5節 行動発達の第3段階としての知能
第6節 労働活動の心理学的前提としての道具の使用

第2章 自然人とその行動

第1節 心理学的発達の3つの平面
第2節 文化・心理学的発達の3つの理論
第3節 生物学的類型としての自然人
第4節 自然人の記憶
第5節 未開社会における言語発達と関連した思考
第6節 自然人による数の操作
第7節 プリミティヴな行動

第3章 子どもとその行動

第1節 成人の心理へのアプローチ
第2節 大人と子ども ― 根本的変形の原理
第3節 乳児とその世界
第4節 プリミティヴな知覚
第5節 プリミティヴな思考
第6節 文化への歩み
第7節 道具を意のままにする
第8節 特殊機能の文化的発達 ― 記憶
第9節 特殊機能の文化的発達 ― 注意
第10節 特殊機能の文化的発達 ― 抽象化
第11節 特殊機能の文化的発達 ― ことばと思考
第12節 子どもの文化的発達の諸段階
第13節 障碍学と心理学
第14節 発達の遅れと才能
第15節 才能の評価と文化的発達の問題